n8nをセルフホストする手順|VPS+Docker+SSLで無料構築
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結論、n8nはVPSにDockerで構築すればセルフホストでき、ソフトウェア自体の利用料は無料です(かかるのはVPS代のみ)。以下でセットアップ手順とn8n Cloudとの費用比較、向いていない人の条件を解説します。
n8nセルフホストとは?n8n Cloudとの違い
n8n(ワークフロー自動化ツール)には、自分でサーバーを用意して動かす「セルフホスト」と、公式が提供するホスティング環境を使う「n8n Cloud」の2つの利用形態があります。セルフホストはソフトウェア自体の利用料がかからず、サーバー(VPSなど)の費用だけで運用できる点が最大の違いです。一方でOSやDockerのアップデート、SSL証明書の更新、障害対応といったサーバー管理の作業は自分側の責任になります。n8n Cloudはこの管理をすべて公式側に任せられる代わりに、月額料金が発生します。なお、n8n本体は公式のSustainable Use Licenseのもとで提供されており、社内利用の範囲を超えて再配布・SaaS提供する場合は条件を満たす必要があります。
セルフホストに必要なもの
- VPS(仮想専用サーバー): root権限を持ち、Dockerを常時稼働させられる契約。共用レンタルサーバーはroot権限がなく常駐プロセスの運用に向いていないため対象外です。
- ドメイン: SSL化やWebhookの受け口として、独自ドメイン(またはサブドメイン)を用意します。
- Docker / Docker Compose: n8n公式イメージをコンテナとして動かします。
- リバースプロキシ: HTTPS化のためにCaddyやnginxなどを前段に置きます。
自動化の常時稼働に向いたVPSの選び方はAI自動化向けVPSの比較で整理しています。root権限の有無で選択肢が絞られるため、契約前に一度確認しておくと迷いが減ります。
VPSでのセットアップ手順(Docker)
1. VPSを契約してSSH接続する
root権限のあるVPSを契約し、SSH鍵を登録してログインします。検証や個人開発の範囲であれば、高スペックなプランは不要です。XServer VPSの料金プランを見るのような小さめのプランからでも動作確認はできます(料金は2026年7月時点、契約前に公式サイトで最新価格を確認してください)。
2. Dockerをインストールする
OSのパッケージ管理からDockerとDocker Composeをインストールします。手順は使用するVPSのOS(Ubuntuなど)によって異なるため、n8n公式のDockerインストール手順に沿って進めます。
3. ドメインのDNSをVPSに向ける
利用するドメイン(またはサブドメイン)のAレコードを、契約したVPSのIPアドレスに向けます。反映には数分〜数時間かかる場合があります。
4. docker-compose.ymlを作成する
n8nの公式イメージを使って、最小構成のdocker-compose.ymlを用意します。公式のDocker Compose手順でも同様の構成が紹介されています。
services:
n8n:
image: n8nio/n8n:latest
restart: unless-stopped
ports:
- "127.0.0.1:5678:5678"
environment:
- N8N_HOST=n8n.example.com
- N8N_PROTOCOL=https
- WEBHOOK_URL=https://n8n.example.com/
- GENERIC_TIMEZONE=Asia/Tokyo
volumes:
- n8n_data:/home/node/.n8n
volumes:
n8n_data:
N8N_HOSTとWEBHOOK_URLは実際に使うドメインに置き換えます。ここを正しく設定しないと、外部サービスからのWebhookが正しいURLで受け取れません。ポートを127.0.0.1に限定しているのは、外部から直接5678番ポートにアクセスさせず、後述のリバースプロキシ経由に一本化するためです。
n8nはv1.0以降、N8N_BASIC_AUTH_ACTIVEなどのBasic認証用の環境変数を廃止しています(2026年7月時点)。認証はコンテナ側の環境変数ではなく、次のステップで説明する初回アクセス時のオーナーアカウント作成によって行われます。古い手順を紹介している記事ではこれらの環境変数がまだ残っていることがあるため、そのまま設定してもv1.0以降のn8nでは意味を持ちません。
5. リバースプロキシでSSL化する
Caddyを使うと、Let’s Encryptの証明書取得・更新が自動化され、設定ファイルも短く済みます。
n8n.example.com {
reverse_proxy 127.0.0.1:5678
}
このCaddyfileを配置してCaddyを起動すると、ドメインへのアクセスが自動的にHTTPS化され、n8nのコンテナへ転送されます。nginxを使う場合は、certbotなどで別途証明書を取得する構成になります。
6. 起動してオーナーアカウントを作成する
docker compose up -dでn8nを起動し、設定したドメインにブラウザでアクセスします。初回アクセス時は「オーナーアカウントの作成」画面が表示されるので、メールアドレス・氏名・パスワードを入力してオーナーアカウントを作成します。以降はこのアカウントでログインする形になり、Basic認証のようなユーザー名・パスワードを環境変数側で用意する作業は不要です。作成後にワークフロー編集画面が開けば構築は完了です。
バックアップと運用のポイント
セルフホストでは、ワークフローの定義や認証情報が保存されているDockerボリューム(上の例ではn8n_data)が唯一の実体です。このボリュームを定期的にバックアップしないと、サーバー障害時にワークフローを丸ごと失うことになります。最低限、日次でのボリュームバックアップと、月1回程度の復元テストをルーティンに組み込むことをおすすめします。データベースをPostgreSQLなど外部DBに切り出す構成にした場合は、DB側のバックアップも別途必要です。
日本語化について
セルフホストにしても、n8nの管理画面が自動的に日本語になるわけではありません。2026年7月時点で公式の日本語UIは提供されていないため、日本語で使いたい場合はn8nを日本語化する方法で紹介しているブラウザ翻訳やノード名の工夫と組み合わせる必要があります。
費用比較:セルフホスト vs n8n Cloud
セルフホストの費用は「VPS代」に集約されます。
10日間無料お試しあり・2026年7月時点
VPSの選び方によって費用と運用の手間が変わるため、root権限の有無やスペックの目安はAI自動化向けVPSの比較で確認してから契約することをおすすめします。n8n Cloudの最安プランは公式の料金ページによると月額20ドル〜(年払い、月払いは24ドル〜。2026年7月時点)からで、サーバー管理を丸ごと任せられる代わりにこの料金が固定費として発生します。VPS代とn8n Cloudの料金差はプランによって縮まる場合もあるため、契約前に両方の最新料金を公式ページで確認してください。
向いていない人
- サーバーのOS更新・Dockerのバージョン管理・SSL証明書の維持といった運用作業に時間をかけたくない人。この作業はn8n Cloudを使えば公式側に任せられます。
- SSHやLinuxのコマンド操作にまだ抵抗がある人。セルフホストの構築・トラブル対応にはターミナル操作が前提になります。
- バックアップや障害対応を自分で設計・運用する余裕がなく、データ消失のリスクを避けたい人。
- ごく少数のワークフローを一時的に試したいだけで、サーバー契約自体が過剰な人。この場合はn8n Cloudの無料トライアルなどで様子を見るほうが手早いです。
FAQ
Q. n8nのセルフホストは本当に無料ですか? A. n8n本体のソフトウェア利用は無料です。ただし常時稼働させるにはVPSなどのサーバー代が別途かかります(2026年7月時点、小規模プランで月数百円〜)。またn8nのライセンスは商用の再配布・SaaS提供に条件があるため、社内・個人での利用を超える使い方をする場合は公式のライセンスページで条件を確認してください。
Q. n8n Cloudとセルフホストはどちらを選ぶべきですか? A. サーバー管理の手間をかけたくない、すぐに使い始めたいという場合はn8n Cloudが向いています。反対に、無料で使いたい・データを自分の管理下に置きたい・他の自動化基盤と同じVPS上にまとめたいという場合はセルフホストが選択肢になります。判断基準は料金だけでなく運用の手間をどちらが引き受けるかです。
Q. セルフホスト後に管理画面を日本語化できますか? A. セルフホストにしても管理画面が自動的に日本語化されるわけではありません。2026年7月時点でn8nは公式に日本語UIを提供していないため、日本語で使いたい場合はn8nを日本語化する方法で紹介しているブラウザ翻訳などの対処法と組み合わせる必要があります。
Q. セルフホストのバックアップは何を取ればいいですか? A. 最低限、ワークフローの定義や認証情報が保存されているデータディレクトリ(Dockerボリューム)のバックアップが必要です。データベースを外部のPostgreSQLに切り出している場合は、そのデータベースのバックアップも別途必要になります。復元手順を一度試しておくと、障害時に慌てずに済みます。
まとめ
n8nのセルフホストは、VPSにDockerでn8nを構築し、リバースプロキシでSSL化するという手順で実現できます。ソフトウェア自体は無料で使える一方、サーバー管理とバックアップの責任は自分側に移ります。管理の手間を避けたいならn8n Cloud、費用を抑えて自分でコントロールしたいならセルフホストという住み分けで検討し、VPS選びはAI自動化向けVPSの比較もあわせて参考にしてください。